社員研修は強制できる?給与など条件は?|社員研修ドットコム

社員研修への参加は強制できる?参加は社員の義務なのでしょうか?その場合に、給与や時間外の残業扱いなどの条件はあるのでしょうか?もし、それでも反発する社員がいたら、どのような問題が生じるのでしょうか?これらの点についてご説明します。

社員研修は強制できる?給与など条件は?

社員研修に強制参加

社員研修に社員を強制参加させることはできるのでしょうか?その場合の条件は?強制参加させたら、何か問題は生じる?これらについて、7項目に分けて、詳しくご説明します。

就業規則に社員研修への強制参加を明記しておく

社員研修に社員を強制参加させることは可能ですが、そのためには条件があります。その1つは、就業規則にその旨を明記しておくことです。就業規則とは、雇用主と労働者の間の雇用に関するルールを定めたものです。つまり、事前の双方の取り決めが重要ということです。

就業規則に明記することにより、その会社で働く社員は、社員研修への参加がルールとして定められるので、原則として、すべての社員が社員研修を受講する義務を負うことになります。このように、就業規則はとても重要であることをきちんと認識しておきましょう。

社員研修への参加時間に給与を支払う

社員研修に社員を強制参加させるための2つめの条件は、研修参加時間に対して、給与を支払うことです。通常の業務時間内に社員研修を行う場合は、通常の業務と同じように給与を支払います。社員研修は業務であるということを企業も社員もしっかり認識することが大切です。

また、もし社員研修が通常の業務時間外で行われる場合には、追加業務とみなして、残業手当や休日出勤手当などを支払うことが必要です。このように、社員研修は業務の一環として位置づけることが大切です。受講者にも、そのことを強く認識させて参加させるようにします。

社員研修の内容が業務と関連することが必要である

社員研修に社員を強制参加させるための3つめの条件は、社員研修の内容が業務と関連する必要があることです。この3点が主要な条件となります。通常、社員研修は、社員の業務に関する知識やスキルを高めるために実施されます。あくまでも、これが社員研修の原則です。

それにもかかわらず、もし予定する社員研修の内容が業務と明確な目的や関連性がないものであった場合には、社員は社員研修に参加することに対して、意義を唱えることができます。重要なことなので繰り返します。社員研修は、業務そのものでなければならないのです。

社員研修の日時などを事前に告知しておく

事前告知

社員研修を実施する場合は、社員に対して、あらかじめ合理的な予告をしておくことも必要です。合理的な予告とは、社員が適切にスケジュール管理ができるような期間を取って予告するという意味です。つまり、参加メンバーの都合に配慮して実施することが大切です。

合理的な予告なしに、社員を強制的に社員研修に参加させようとすれば、無理が生じます。突然の呼びかけに対しては、社員はスケジュール調整の困難性を理由に、断ることができます。これは、社員研修に限らず、何事にも共通する社会通念として捉えることができます。

社員のモチベーション低下に注意する

ここまで述べたように、事前に条件さえ整えれば、社員を強制的に社員研修に参加させることは可能です。しかし、言うまでもなく、社員研修は参加さえさせればよいというものではありません。社員研修は、できる限り主体的に参加したくなるように促すことが大切です。

参加したくない社員を強制参加させることで、モチベーションが低下する可能性が生じます。これでは、研修効果もあがらない可能性が高いです。したがって、参加を拒む社員には、その理由によく耳を傾けて、社員研修の意義やメリットについて丁寧に説明することが大切です。

社員研修への強制参加が離職につながらないようにする

社員を無理やり研修に参加させることを繰り返すと、社員の離職につながることがあります。場合によっては、労働争議などに発展するかもしれません。このような事態は避けなければなりません。社員研修は役立つものであるはずが、これでは、本末転倒になってしまいます。

いまはSNSの時代なので、社員研修の評判が悪いと、人材採用にも影響がでます。いわゆる洗脳型や、人権を無視するような特訓型の社員研修は絶対にやってはいけません。社員研修を企画するときは、社員研修の内容をよく吟味して、社員満足度を高めるように努めます。

社員の健康安全やメンタルヘルスに注意する

社員研修を実施する場合には、社員の健康安全やメンタルヘルスに十分に注意する必要があります。繰り返しになりますが、洗脳型や特訓型の研修を長時間にわたって強制するなどは論外です。社員の健康やメンタルに悪影響を与える研修は絶対にやってはいけません。

労働法や関連法規を遵守することはもちろんであり、社員研修が社員個人の権利やプライバシーに干渉しないように、細心の注意を払うことが求められます。3つの条件をクリアしたからといって、どんな内容の研修でも強制参加させられるとは、決して思わないことです。

社員研修に主体的に参加させるメリット

社員研修は強制的に参加させるものではなく、できる限り主体的に参加したくなるような研修を企画すべきです。主体的に参加させることのメリットについてご説明します。

自らの目的をもって研修に参加できる

主体的な参加では、社員は自分自身で研修プログラムに納得して、自らの目的をもって研修に参加することができます。これにより、学ぶことに対するモチベーションが向上し、研修がより有益で意味のあるものとなります。

それに対して、強制的に社員研修に参加させると、社員は研修の目的を明確に理解しないまま参加してしまう可能性があります。

学んだ内容を積極的に業務に取り入れる

主体的な参加では、社員が自分の仕事や組織に直結する価値のある研修と認識して参加することができます。それにより、研修がより実践的で、社員が学んだスキルや知識を積極的に実際の業務に適用することが期待できます。

強制的な参加の場合は、研修内容を他人事のように感じることが多く、学んだ内容を個々の職務に即して実践しようと考えない可能性があります。

積極的な学習態度が期待できる

主体的な参加には、社員が自ら学びたいという意欲があるため、モチベーションが高まり、積極的な学習態度が期待できます。これにより、他の参加メンバーにも良い効果を与えます。

その一方で、強制的な参加では、学習内容への関心が低くなりがちで、他の参加メンバーに悪影響を与えて、研修全体の学習の効果が制限される可能性があります。

継続研修への要望が高まる

主体的な参加により、社員は積極的に学び、仕事との調和を図りやすくなります。これにより、業務への適応力が向上し、変化の激しい環境にも迅速かつ効果的に対応できるようになります。それと同時に、さらなる課題も見えてきます。

主体的な参加では、より学びたいという意欲が湧いて、継続研修への要望も強まります。それに対して、強制的な参加では、研修に対してよいイメージが描けないため、継続研修があっても参加意欲は低下します。

チームビルディングと共有が促進される

主体的に参加することにより、社員同士の積極的な交流や共有の機会が生まれます。目的を共有する仲間と一緒に学ぶことで、チームビルディングが促進され、協力関係が深まります。

その一方で、強制的な参加では、社員が研修を単なる義務として受ける傾向があり、協力や共有の機会が減少する可能性があります。

まとめ

今回は社員研修へ強制参加させられるかどうかについてご説明しました。就業規則への明記、業務と関連があること、研修時間に給与を支払うこと、の3つの条件をクリアできれば、強制参加させることは可能です。

ただし、本来、社員研修は、強制参加させるものではありません。社員研修はできるだけ業務に直結しており、社員研修を受講した社員の満足度が高くて、次の社員研修にも積極的に参加したくなるというのが、あるべき姿です。

そうなっておらず、参加を拒否する社員が多い場合は、社員研修の内容を見直すことが大切です。特に、洗脳型や特訓型の研修には要注意です。このような研修は時代錯誤であり、実施すべきではないと考えます。

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