社員研修で労務管理研修を実施するときの研修内容|社員研修ドットコム

社員研修で労務管理研修を実施するときの研修内容についてご説明します。労務管理は、自己流で行うことは厳禁であり、労働関係の法律に則って行うことが重要です。それゆえ、労務管理研修では、弁護士を講師に迎えて、法的な解釈をきちんと理解する必要があります。

社員研修で労務管理研修を実施するときの研修内容

労務管理

社員研修で労務管理をテーマに研修を実施するときの研修内容について、7項目に分けて詳しくご説明します。

労務管理研修で労働基本権と労働法の基本について教える

労務管理研修では、最初に労働基本権と労働法の基本について教えます。労働基本権は、日本国憲法第27条から第29条に規定されています。これには、労働者の団結権、団体交渉権、争議権などが含まれています。労務管理研修の受講で、法律の基礎知識をマスターできます。

これらの権利は、労働基準法を通じて具体的に保護されています。労働基準法は、最低賃金、最大労働時間、休憩時間、労働災害の予防、子どもや若年者の労働条件など、労働者の権利を規定しています。研修内容としては、労働基準法の概要について学びます。

労務管理研修で雇用契約と労働条件について教える

労務管理研修では、雇用契約と労働条件について教えます。雇用契約は、雇用主と労働者との間で合意される書面または口頭の契約です。契約の内容には、雇用期間、労働時間、賃金、休暇、解雇条件などが含まれます。雇用契約は、労務管理のスタートに位置付けられます。

労働契約法により、契約の明示性、書面契約の必要性、契約変更の手続きなどが規定されています。研修内容としては、法律に則ってこれらの内容をどのように整備すればよいかを学びます。参加メンバーは、これらの点に関する自社の問題点を抽出して、改善策を検討します。

労務管理研修で労働時間と休暇制度について教える

労務管理研修では、労働時間と休暇制度について教えます。労働時間の制限は、週平均40時間、1日8時間までとされています。また、時間外労働や休日労働には追加の手当が支給されるべきです。年次有給休暇法により、労働者には年間最低10日間の有給休暇が与えられます。

この他にも、産前産後休業や介護休業など、特別な休暇制度も存在します。研修内容としては、参加メンバーは、これらの知識を理解した上で、自社の特性に合わせて、法律を遵守することを前提に、実際にどのような制度を整備すればよいかについて検討します。

労務管理研修で賃金と社会保険について教える

賃金

労務管理研修では、賃金と社会保険について教えます。最低賃金法により、最低賃金が地域ごとに設定されています。賃金計算には残業手当や休日出勤手当などの手当も考慮されます。同業他社と比較して、賃金水準の高低や手当などの妥当性について検証することが大切です。

また、社会保険は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などから成り立っており、雇用主と労働者が負担します。これらの保険には加入要件と手続きがあります。研修内容としては、これらを学んだ上で、現状の自社の問題点を抽出して、改善策を検討します。

労務管理研修で労働安全衛生と労災保険について教える

労務管理研修では、労働安全衛生と労災保険について教えます。労働安全衛生法に基づき、労働者の安全と健康が保護されます。職場での安全装置の設置、労働者への安全教育、事故報告などが規定されています。リスクを生じる恐れがありますので、遵守することが重要です。

また、労働者の労災保険は、労働中に発生した事故や職業病に対して提供されます。労働安全衛生と労災保険は労働者の安全を守る上で、非常に重要な要素です。研修内容としては、これらの内容について学んだ上で、現状の自社の問題点を抽出して、改善策を検討します。

労務管理研修で雇用の均等と差別禁止について教える

労務管理研修では、雇用の均等と差別禁止について教えます。男女雇用機会均等法は、男女の雇用機会と待遇に関する差別を禁止し、男女平等を促進します。障害者雇用促進法は、障害者の雇用機会を確保し、差別を防ぐための法律です。社会の厳しい眼が向けられています。

企業は、雇用差別を防ぐために、採用プロセスや職場環境の改善が必要です。研修内容としては、これらについて学んだ上で、自社において様々な観点から、雇用機会や待遇において差別が生じていないか、自社の問題点を抽出して、改善策を検討します。

労務管理研修で解雇と労働紛争の解決について教える

労務管理研修では、解雇と労働紛争の解決について教えます。解雇は、労働契約法に基づいて行われるべきであり、正当な理由がないと不当解雇とみなされることがあります。労働紛争が発生した場合、労働委員会や労働審判所での解決手続きが行われ、公平な判断が下されます。

研修内容としては、不当な解雇を防ぐために、合法的に行うための適切なプロセスについて学びます。また、労働紛争に関連して、労働組合と団体交渉についての基礎知識も学びます。労働組合と雇用主との団体交渉は、労働争議の発生を防ぐために重要です。

社員研修で労務管理研修を実施するメリット

社員研修で労務管理をテーマに研修を実施することにより得られるメリットを、主要な5ポイントに絞ってご説明します。

コンプライアンスが向上する

社員が労務管理スキルを高めることで、企業は法的な規制や労働法に対する理解が深まります。これにより、法的なリスクを軽減し、法的トラブルや訴訟の可能性を低減させることが期待できます。

組織の効率が高まる

労務管理のスキル向上により、人事プロセスや、雇用契約の適正な作成などがスムーズに行われるようになります。これにより、組織内の効率が向上し、業務プロセスが効果的に遂行されます。

社員満足度とモラールが向上する

社員が労務管理のスキルを高めることで、社員の雇用条件や給与体系の適正な理解が促進されます。これにより、社員は公正な取り扱いを感じ、モチベーションや仕事への満足度が向上します。

リスク管理が向上する

適切な労務管理スキルを持つ社員は、紛争解決や問題解決の能力が高まります。これにより、労働関係における潜在的なリスクや紛争を早期に発見・解決し、組織における不和やトラブルを最小限に抑えることができます。

戦略的な人材管理が実現する

社員が労務管理スキルを向上させることで、企業は人事データを有効に活用し、戦略的な人材計画を立案する能力が高まります。適切な人材の配置や育成により、組織は将来の成長に向けてより戦略的なアプローチを取ることができます。

まとめ

労務管理は、社員が働く職場環境を良好に保つために管理する業務です。具体的には、求人・採用から始まり、配置や異動、人材育成、人事評価、賃金および労働時間の管理、退職までといった、企業が社員に対して行うすべての管理の総称となります。

企業の3大構成要素と言われる、ヒト、モノ、カネの中の、ヒトに関わるすべての管理業務なので、企業の業務の中でも、非常に重要な役割を担う業務の1つとして位置づけられます。通常は、人事部の仕事となります。

このように労務管理の範疇は非常に広いので、労務管理研修の内容も多岐にわたっています。それゆえ、ダイジェスト的に広く浅く学ぶ研修を実施した後に、継続研修により、研修の各要素を深掘りして学ぶことが望ましいと考えます。

最初の労務管理研修の内容は、労働基本権と労働法の基本、雇用契約と労働条件、労働時間と休暇制度、賃金と社会保険、労働安全衛生と労災保険、雇用の均等と差別禁止、解雇と労働紛争の解決などとなります。

冒頭でも述べたのですが、労務管理で最も重要なことは、絶対に自己流で行ってはならないということです。労務管理を担当する社員は、法律を良く学んだ上で、すべての業務を法律に則って行わなければなりません。

そのためには、労務管理研修の講師は、法律のプロである弁護士に依頼すべきであると考えます。研修内容は、単なる法律の説明で終始することなく、判例に基づいて、実際に具体的に生じた問題に対して、法律がどのように適用されるのかを学ぶことが大切です。

労務管理研修では、労務管理に関して、グループディスカッションなどで、自社で生じている問題点を抽出して、改善策を検討します。そして、講師である弁護士から、その改善策が適切であるかアドバイスを得るようにします。

労務管理研修は、労働者と雇用主の権利と責任を理解し、法的なコンプライアンスを確保するために非常に重要です。労務管理研修は、労働法を遵守し、職場の健全性と公平性を維持するための基盤を築くのに役立ちます。

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